新沂前溝漢代墓地位置図

國家連徐高速鉄道建設計畫に伴い、2018年12月から2019年3月にかけて、徐州博物館（徐州市文物考古研究所）、新沂博物館が共同で工事施工範囲內に及んだ2基の土塚を緊急に発掘し、それぞれD 1、D 2を番號付けした。発掘前の土塚の地表は麥畑で、局部はすでに破壊されていた。

二、前溝漢墓群D 1

D 1は生産建設と土地の平坦化により、堆積土が深刻な破壊を受けた。堆土は東西約50メートル、南北約30メートル、殘存高約0.5メートル。D 1は全部で28基の墓を発見し、清代の墓を除いて、すべて漢代の墓であった。埋葬方式によって2つのタイプに分けることができ、土坑墓と煉瓦室墓、そのうち土坑墓7基、煉瓦室墓21基である。すべての墓は耕作層の下に開口し、熟土層および生土層を破った。墓埋立土の大部分は五花土で、少數は黃褐色で、一部の墓埋立土は明らかな突き固めの痕跡がある。葬具の保存狀況は悪く、板灰の痕跡しか見られなかった。人骨の保存が悪く、大部分は朽ちており、少しの人骨の朽ち果てた跡が見られる。人骨殘存跡を見ると、いずれも仰向けに伸ばされた狀態で埋葬されていたことがわかる。副葬品、煉瓦室墓は一般的に耳室內、または足に置かれている。土坑墓の副葬品の大部分は足箱や壁龕に置かれている。出土した器物と墓の形質から推定すると、D 1墓時代は西漢晩期から東漢晩期までである。

三、前溝漢墓群D 2

 D2も生産活動や土地整備により盛り土が損傷を受け、現在D 2の底部は楕円形に近く、東西の殘長41.3、南北の殘長27.5メートル、殘高2.2メートルである。D 2堆土は4層に分けることができる。第①層は耕地層で、土色は黃褐色で、土質は比較的に粗雑である。厚さは0.5?0.95メートルで、植物の根莖と少量の灰陶片を含む。第②層はマット層で、土色は灰褐色で、土質は疎らである。地表からの深さは0.5～0.95メートル、厚さは0.5～0.85メートルである。第③層はマット層で、土色は黒灰色で、土質は緻密である。地表から深さ1～1.8メートル、厚さ0.5～0.48メートルである。④層はマット層で、土色は灰白色で、土質は緻密で、地固めされている。地表から1.5～2.28メートル、厚さ0.5～0.35メートルである。②③④マット內には基本的に含有物がなく、スクリーニングされたことがあるかもしれない。特に④層目は全體のスパンの一番下の基礎土として、非常に純粋で、含有物がなく、しかも打ち固めが非常に緻密で、局部には草木灰が散布された痕跡があり、防濕防濕の役割を果たしていることがわかる。

D 2は全部で21基の墓を発見し、1基が清代の墓である以外はすべて漢代の墓である。現在の墓葬はすべて耕地層の下に開口し、大部分の墓葬は熟土層および生土層を破った。一部の墓葬は完全に熟土の中に位置している。墓埋蔵方式によって、土坑竪穴墓、煉瓦室墓、石槨墓の3つのタイプに分けることができる。そのうち、土坑墓18基、煉瓦室墓1基、石槨墓2基があります。墓埋立土の大部分は五花土であり、地固め跡は見られない。葬具の保存狀況は悪く、板灰の痕跡しか見られず、痕跡によって観察すると、いずれも単棺には槨がなかった。人骨の保存が悪く、大部分は朽ちており、少しの人骨の朽ち果てた跡が見られる。人骨殘存跡を見ると、いずれも仰向けに伸ばされた狀態で埋葬されていたことがわかる。副葬品、煉瓦室墓は足側に置き、土坑墓副葬品の大部分は足箱または壁龕に置く。石槨墓は足箱に入れられている。出土した器物と墓の形から推測すると、D 2墓時代は西漢末期から東漢初期まで続いた。

四、発掘の成果

47基の漢墓の合計出土品は195點（セット）で、そのうちD 1出土品は71點（セット）、D 2出土品は124點（セット）である。煉瓦室墓と石槨墓の盜難は深刻で、器物の組み合わせはすでにはっきりしておらず、土坑墓の保存は良く、器物の組み合わせは缶、壺を主とし、陶鼎、瓿、箱なども見られる。その中でD 1 M 24とD 2 M 18が出土した動植物の遺留は、鑑定の結果、D2M18から出土した動物の骨は野ウサギの骨であるが、具體的な種は未確定である。D1M24から出土した植物遺存は、ナツメと栗であった。 

これらの墓の間には、基本的に重なり合うのではなく、ごく少數の墓だけが他の墓を破壊している関係にある。これは、これらの墓がほぼ同じ時代に造られたことを示している。このうちD 1墓はすべて東西方向で、頭は東に向かっている。D 2墓はすべて南北方向で、頭は南に向いている。その中でD 2墓の配列は規則的で、南北に5行並んでいる。向きが一致し、整列した墓葬は、すべてD 1、D 2が漢代家族墓地であるべきことを示している。D 2合葬墓の男性墓主はすべて右側にあり、例えばM 1、M6、M7、M9、M11、M21，右を尊ぶ葬儀の習わしが掲示されている。現在明らかにされている封土狀況から見ると、D 2の石積み基壇全體は基本的に①②③④層に完全に分布しており、墓葬はまず土塚を積み、それから土塚の上に穴を掘って墓を建てるべきであるが、後期に二次的に土を積み続けて墓を建てる可能性は排除できない。

五、発掘意義

近年、漢代の盛り土墓の発見と研究は學界で重要な課題となっている。考古調査と発掘により、徐州地區の漢代の土塚墓は邳州東部や新沂などの沂沭河流域に主に分布していることが明らかになった。新沂前溝墓群は、科學的な考古発掘が行われた典型的な漢代土塚墓であり、徐州および蘇北地區の漢代盛り土墓の形成過程や葬送習俗を解明する上で重要な學術的意義を持っている。

 （一）分布形態には2つのパターンがある。其の一、土塚が密集し、墓群を形成する場合。例えば、亂墩墓群では地表に20基以上の盛り土が分布し、高莊墓群では5基、前溝墓群では5基の土塚が確認されている。これらの盛り土は集中して分布し、互いに接している場合もる。その二、単獨の盛り土が存在する場合。例えば、聶土塚墓群、前林土塚墓群、宋莊土塚墓、周廟土塚墓などが該當する。 

（二）時代の特徴から見ると、墓は主に西漢中晩期から東漢期に集中している。墓の數と規模から見ると、複數の土塚からなる土塚墓群の數は20基前後で、単一の土塊內の墓の數は50基以上に多く、墓の規模は小さく、多くは中小型の墓である。

（三）土塚の形成過程から見ると、土臺を積み上げたり、何度も土を敷いたりするのが基本的な特徴であり、それから墓穴を掘って埋葬する。墓の配列は秩序正しく、方向はほぼ一致している。墓には土坑墓、煉瓦室墓、石槨墓があり、墓の規模はいずれも小さい。

新沂前溝墓群の考古學的発掘は、漢代の土塚墓の形成過程をほぼ解明した。これは徐州地區で初めて、漢代の土塚墓の遺構をほぼ完全に解明した事例である。この発掘は、漢代の土塚墓の遺構の堆積形成過程や、西漢から東漢期にかけての家族墓地制度を研究するのに重要な資料を提供している。